自分で開発したキーボードを秋葉原実店舗で販売してる話
秋葉原実店舗で販売してる?
はい、実際に自分でデザイン、回路設計から専用基板の製造まで行ったキーボードを秋葉原の実店舗で販売する、ということをやってます。こんなやつです
【委託】Ergotonic49shop.yushakobo.jp
私の開発したこれらのキーボードは秋葉原にある 遊舎工房ショップ - 自作キーボード専門店 で販売中です。
遊舎工房さんは自作キーボードに関する様々な商品を取り扱っていて、私のような趣味でキーボードを開発されている作家さん達の作品の委託販売も行っています。
この遊舎工房さんに販売を委託することで ”秋葉原のお店でで自作のものを売る” という実績を達成してます。
実店舗にはデモ機もおいてあるので実際に手にとって見てもらえますし、通販でも購入可能です。
近くに行ったたらぜひお店に立ち寄ってみてみてください。きっと見たことのないびっくりするようなキーボードが見つかると思います。
あと気に入ったら 拙作の ALIEN88とErgotonic49買ってね
自作キーボードの開発って?
さて、自作キーボードを開発販売するというのは 実際どういうことなのか、ざっくりやってることを書き連ねてみました。
- 構想~コンセプト企画
- ラフデザイン
- モックアップ評価
- 回路設計
- 2D,3Dデザイン
- プロダクト名検討と商標調査
- ファームウェア開発
- プリント基板製造(委託)
- 試験
- キット同梱用のパーツ選定と調達
- プロモーション計画
- マニュアル執筆
- ロゴタイプのデザインやフライヤーの作成
- 販促用写真撮影
- インタレストチェック
- 試作品評価
- アルファ(クローズド)テスト
- ベータ(オープン)テスト
- 販売用キットのパッケージング
- 販売委託先との調整
- 売上管理、在庫管理
- キャッシュフロー管理
- ユーザサポート
改めて見てみると仕事でやるようなことを まあ全部一人でこなしてるの すごいですね(他人事)。
私の場合です1つのキーボードを企画から販売開始するまでが約半年くらい(長いと1年位)かかります。その間は設計した物を販売可能な品質にまで高めていくために何度も試作評価とフィードバックを繰り返す必要があります
そのため ぶっちゃけそれなりの結構お金もかかります。キーボード開発専用の口座がショートしないように売上から入金、支払いまでのサイトも慎重に検討しながら発注をかけなければならなかったり気を使うことも多いです。
儲かってるの?
殆ど儲けは無いです。というか赤字になることの方が多い。
売上は 商品の直接材料費と開発で使った試作材料費で殆ど飛んでいってしまいます。それでも続けているのは 「持続可能な趣味」っていう感じですね。
モノを考えたり設計したり作ったりすることが楽しくて、沢山の人に商品を買ってもらうことが嬉しくて、色々な人に何より自分の作品を使ってもらうことが一番幸せ。
売上がある程度あることで好きな開発を続けられる。今後もこういったサイクルが続けられるといいなと思っています。
という訳なので、気になったら買ってね!!
というオチでした
ローンチしました: ゲーミング志向自作キーボード 「ALIEN88」
私たちErgotonic Worksは、ついにゲーミング志向メカニカルキーボード ALIEN88のローンチをご案内することができるようになりました。
これまでSNS上では開発中の様子を少しづつ発信してきましたが改めてここにALIEN88について紹介します。
ICへのご協力おねがい
現在 ALIEN88に関するIC (Interest Check)を実施しています。下記のURLから簡単なアンケートにご協力いただけますようお願い致します。ご回答いただいた内容は、開発・製造の方向性の参考とさせていただきます。
ALIEN88について
ALIEN88は、ゲームでの利用を第一に考えて設計されたPC用のメカニカルキーボードです。もちろんゲーミングシーン以外にもオフスでの作業やホビー用途など多様に使っていただける汎用性も想定しています。
自由な自作キーボード
ALIEN88は、ユーザーが自分で組み立てる自作キーボードキットとして頒布されます。
自作キーボードは、大手メーカーの工業製品では対応できないニッチなニーズを満たすことができるため、日本だけでなく世界的に普及が進んでいます。ALIEN88 も一般的な市販キーボードにはない特長や 機能を備えています。
自作キーボードの最大の魅力は、完全に自由である、ということでしょう。キースイッチの交換、キーキャップの交換、キーレイアウトの変更、さらにはファームウェアの改造も自由です。つまり、自作キーボードは、ユーザーにとって自由にコンピューティングを楽しむための出発点なのです。
ALIEN88は自作キットではありますが、できるだけ簡単に組み立てられるように設計をしています。これから自作キーボードを始められる方は、ぜひこの機会に自作キーボードの世界に触れてみてください。
ALIEN88の特長
ALIEN88キーボードの特長を極力簡潔にまとめました。
自作キーボードや自ら開発したキーボードについて話すと延々オタク語りを始めてしまいそうです。各説明の背景にある開発の思いについてまた別の機会を設けてお話ししたいと思います。
・ 薄型&スタイリッシュ
薄く引き締まったスレート状のボディは、厚さわずか8.6mm。
テーブル面からキートップまでの高さは20mmでパームレストなしでも扱いやすく、快適なタイピングをサポートします。
・コンパクト
コンパクトなキー配列も特長のひとつです。通常のキーボードからテンキー部分を除いたTKL( Ten Key Less )サイズです。ローセンシティのマウス操作に必要なデスクトップスペースを確保することができます。
物理的なキー配列はUS ANSIをベースにしていますが、もちろん日本語環境でも使用することができます。
キーピッチは横19mm、縦17mmで、一般的なキーボードよりも縦にやや狭くなるように調整されています。これにより奥のキーまで手が届きやすくなり、より快適なタイピングが可能になりました。一番上の段のファンクションキーへのアクセスもより近くに感じることができるでしょう。
・ ライバルに差をつける拡張キー
キーボードの左右には、エクストラキーが配置されています。これらのキーは、アプリケーションやゲームでショートカットキーを割り当てたり、マクロを定義したりして、ユーザーが自由に使用することができます。
スプリットスペースバーとその下に配置された2つの追加キーは、往年のOASIS親指シフトを彷彿とさせます。これらのキーは、レイヤーコントロール、モディファイアキー、変換/無変換キーなど、ユーザーの好みに合わせて様々な活用が可能です。
もちろん、親指シフトキーとしても使用可能ですよ。
・多用途に使えるレバースイッチ
キーボードの中央手前側には、他のキーボードにはないレバースイッチを搭載しています。
このレバースイッチは、左回り、右回り、押し込みの3通りの操作が可能で、それぞれの操作にユーザーによるキーコードを割り当てることができます。例えば、音量の調整、左右のスクロール、ゲーム上のショートカットパレットの変更など、多様な用途に使用することができます。アイデア次第で強力な武器になることでしょう。
・シーンを演出するフルカラーLED
このキーボードには、キーのすべてにフルカラーLEDが配置されており、20種類以上のエフェクトで演出が可能です。ゲーミングシーンを盛り上げたり、デスクトップのデザインとして楽しんだりすることができます。
・ N-keyロールオーバーとアンチゴースト
複数のキーが高速に連続して押された場合でも、キーコードを正確にホスト側に送信することができます。また、同時に多くのキーを押しても、無関係なキーコードが送信される「ゴースト」が発生しません。
・ すべてのキーは再割り当て可能
ブラウザを使って例外なくすべてのキーを完全に自由に再割り当てが可能です。
キーボードは最大8つのユーザーレイヤーに対応しており、異なるタスクやゲームに適したキーレイアウトを定義することができます。カスタムキーマップはキーボード本体に保存され、いつでも自由に呼び出すことが可能です。
・ キースイッチとキーキャップは自由に交換可能
このALIEN88自作キットには、キースイッチ、キーキャップは同梱されません。その代わりユーザは市販されている数多くの選択肢から好みに合わせて自由に組み合わせることができます。
スイッチは、コリッとした感覚のあるタクタイルスイッチ、カチッと音がするクリッキースイッチや 引っかかりなくスムースに底まで押し込めるリニアスイッチといった種類があり、更にそれぞれにはキーを押仕込むときに必要な重さに応じたラインナップがあり、それら市販の多種多様なスイッチを後からでも交換することができます。
また、キーキャップについても同様に自由に交換ができます。個性的なデザインのキーキャップを使ったり、自分だけのオリジナルキーボードを作ることもできます。
サンプル画像で使用しているオレンジがアクセントになっているキーキャップは、「ChocFox Legeld Keycapset」です。ALIEN88はこのキーキャップに適合するように設計されており、キーキャップのデザインやサイズがぴったり合うのでおすすめです。
・ テンキーパッド
ALIEN88は、TLKサイズキーボードと同じプロファイルを持つテンキーも用意しています。MMORPGやシミュレーターなどでショートカットを登録するのに便利に使えます。
もちろん、通常のテンキーとして数字の入力にも使用できますので、オフィスワークにもももってこいです。
・ 簡単組立
頒布キットは、マイコンやLEDその他の部品はほとんど取り付け済みで、ファームウェアもマイコンにインストール済みの状態でお届けします。
ユーザがはんだ付けはする必要のあるパーツは最小限になっていて、その他はドライバーでネジ止めするだけのシンプルさですので 初めて自作キーボードに挑戦する方でも安心していただけるはずです。
スペック
ALIEN88 TKL Keyboard
- サイズ: 335mm x 131mm x 8.6mm (突起部除く)
- キー数: 91
ALIEN88 NumPad
- サイズ: 83mm x 131mm x 8.6 (突起部除く)
- キー数: 23
共通
- MCU: RP2040 (基板実装)
- ファームウェア: QMK Firmware 0.18 (出荷時書き込み済み)
- ボディカラー: ブラック (光沢アクリル)
- 筐体構造: アクリル+FR4 サンドイッチ構造 (中間にPORON製クッションシート)
- その他: ダイオード及びLEDも基板実装図済。
このキーボードの開発の経緯
この開発プロジェクトは、ゲーム好きの仲間内で「自作キーボードを活用してゲームを快適にプレイできないか」という軽い話からゆるやかにスタートしました。
最初はゲーム専用のコテコテな左手デバイスを作りたいというところか始まりました。
紙の上でいろいろと検討したり既存の分割式カラムスタッガードキーボードの左手を使って実践してみたりしたのですが、しかし最終的にはいつも「このデバイスと一生付き合っていく覚悟があるか」という問いに立ち返ります。
瞬発力が求められるゲームでは、新しいデバイスに適応するための移行コストは非常に重要な要素になります。
テキストタイピングの場合、新しいキーボードでもゆっくり慣れていけばいつかは習熟できるようになりますが、ゲームの場合はそうはいきません。迷ったり、手元を見たり、操作を間違えたりするとその時点で致命傷になりかねません。ある環境から別の環境へと移行するための期間が必要になりますが、"慣れていないので何も達成できない期間がある"、"慣れたとしても元の環境に後戻りできなくなってしまう"、という事態は避けなければいけない課題です。
結局、長い検討の末に「普通のキーボードが一番」という結論に至ったのは面白かったです。でも「普通のキーボード」ってなんだろう?何が足りないのか?何を足せばいいのか?何度も試作を繰り返し、ようやく完成したのがこのALIEN88 です。
"ゲーミングキーボード"の定義は明確ではありませんが、ゲーミングキーボードを名乗るための要素はほぼすべて備えているのではないと思っています。
まあ、光ればもう何でもゲーミングなんですけどね。
ALIEN88の名前について
私は昔の日本の漫画 新谷かおる先生の「エリア88」という作品がとても好きでした。
戦闘機パイロットの物語なのですが、戦い、生への執着、裏切り、信頼など作品の世界にぐっと引き込まれました。
ゲーミングシーンでの熱いバトルにその思いを込めてAREA88をリスペクトして命名しました。
『ALIEN88 ここは地獄の一丁目』
なお申し添えますとゲーミングデバイスを展開するようなメーカとは一切の関係はありません。他の権利者に対して商標の侵害を行うつもりは毛頭ありません。もしこの名称がなにかの権利に抵触するような場合は対応いたします。
ALIEEN88の入手について
2023年4月現在、頒布のための最終調整中です。 5月の連休頃にファーストロットを少量頒布できるよう頑張ってます。
色々とこだわりが多いため製造コストが増大し頒布価格もちょっと高くなってしまうのが悩みどころです。需要が十分に多いようなら量産でコスト削減も図りたいと思いますので、いいね、ほしいね と思われる方はSNSなどでフィードバックいただけると嬉しいです。
Twitter: Hanachi / @haswellwp
GitHub: hanachi-ap
E-mail: hanachi.ap @ gmail . com